母集団形成の重要性について、障害者雇用で注意するポイントとは | ESJコンサルティング

母集団形成の重要性について、障害者雇用で注意するポイントとは

  1. 目次
  2. 1.母集団形成とは
  3. 2.母集団形成が重要視される理由
  4. ①就労人口の減少と人材獲得の増加
  5. ②ミスマッチの増加
  6. 3.母集団形成のメリット
  7. ①採用の効率化
  8. ②コストの適正化
  9. ③ミスマッチの防止
  10. 4.母集団形成の流れとポイント
  11. ①採用計画の立案
  12. ②スケジュール決め
  13. ③人材募集活動
  14. 5.母集団形成の方法
  15. ①求人広告
  16. ②自社のホームページやWEBサイト
  17. ③人材紹介サービス
  18. ④合同説明会
  19. ⑤ダイレクトリクルーティング
  20. ⑥リファラル
  21. ⑦学内セミナー
  22. ⑧SNS
  23. 6.障害者雇用における注意点
  24. ①障害者雇用の状況変化とターゲットのミスマッチ
  25. ②「障害者であること」が先行してしまっている
  26. 7.まとめ

障害者雇用でも一般就労枠でも、どちらにおいても採用活動で重要な要素の一つが「母集団形成」です。

ここ数年、オンライン環境の普及により就職・転職活動の方法が大きく転換しつつあります。

こうした状況の中で、障害者雇用を進めていくにはどうしたらよいのか、母集団形成の手法やポイントを詳しく解説していきます。

 

1.母集団形成とは

ここでいう企業の採用活動における母集団とは、「自社に応募してくれる求職者の集団」のことを指します。

そして母集団形成とは、このような集団を集めるための活動や取組全般を指します。

母集団形成は求職者が大勢集まれば良いと思われがちですが、ただ集まれば良いというものではなく、求職の質も重要となってきます。

 

2.母集団形成が重要視される理由

①就労人口の減少と人材獲得の増加

現在の日本では少子高齢化が進み、年々就労可能な人口が減少しており、どの業界でも慢性的な人材不足に陥っています。

そんな環境の中で、オンライン環境が普及し、従来の形だけではない新たな事業を担う人材が求められており、人材獲得競争はますます激化していっています。

そのため、いかに質の良い人材を多く集められるかが、企業にとって重要となります。

 

②ミスマッチの増加

近年、転職活動は当たり前のものとなっており、仕事や環境が合わないとすぐに転職してしまうというケースが多く見受けられるようになりました。

これは多くの場合、求職者募集の段階で、企業と求職者の間でミスマッチが起こってしまったことが原因となります。

せっかく求職者を採用できたとしても、すぐに転職してしまっては元も子もありません。

母集団形成を上手く行い、採用前に求職者との齟齬を減らすことで、自社に必要な人材を多く集めることができます。

 

3.母集団形成のメリット

①採用の効率化

採用活動において、「応募数は多いが質は低い」と「応募数は低いが質は高い」のどちらが優先されるかと言えば、圧倒的に後者になります。

自社が求める人材を集めることができれば、その分採用に至る求職者も多くなります。

そのため何度も採用活動を実施しなくてもよくなり、結果的に効率よく採用活動を行うことができます。

 

②コストの適正化

上手く母集団形成を行うことで、採用にかかるコストを抑えることが出来ます。

母集団形成を行わないと、採用活動期間が長引いたり、応募が予想よりも多くなってしまえば、選考にかかる時間もとられてしまいます。

母集団形成を計画的に実施することで、必要な人材を適正数確保することができるでしょう。

 

③ミスマッチの防止

自社にマッチする人材の募集・採用をすることができ、求職者とのミスマッチを少なくすることができます。

ミスマッチの減少は、障害者雇用において重要度の高い「入社後の人材定着」につなげることができるため、なるべく精度高く母集団形成していくことが求められます。

 

4.母集団形成の流れとポイント

ここからは母集団形成のポイントを順番に解説していきます。

①採用計画の立案

まずは採用までの計画を立てます。

自社でどのような人材が必要なのか、かけられる予算や期間等、より詳しく、具体的に計画を立てることでターゲットを明確化します。

どのような人材が必要なのかを考える際には、新卒か中途か、スキルや経験、どの業務を任せるのか、抱えている障害、就労可能時間等を決めておくとよいでしょう。

大事なことは、最終的に自社にマッチした人材を採用することです。

単に雇用できればよいというものではありませんので、このことを念頭に置いておきましょう。

 

②スケジュール決め

採用計画が定まったら、そのゴールから逆算をしていく形でスケジュールを決定します。

面接、書類選考、募集期間、求人準備、PRの準備等を考慮すると、一つ一つにかけられる時間はそこまで多くないことが分かります。

何かあった際に対応できるよう、余裕を持ったスケジュール決めが重要です。

 

③人材募集活動

スケジュールが決まれば、それに沿って募集を開始します。

募集には様々な方法がありますので、この後具体的に解説していきます。

募集を開始したら、応募のあった内容を順次確認します。

細かく確認をすることで、実際にどのような求職者が集まっているのか、ターゲットの人材からは応募があるか等を判断することができ、もし思うような募集ができていない場合には、計画を見直す必要があります。

この繰り返しによって母集団が形成されていきます。

 

5.母集団形成の方法

①求人広告

一番メジャーな手法で、効率的に多くの人の目に触れることができます。

求人広告はWEB広告、紙面、新聞折込、フリーペーパー等、様々な形式があります。

多くの人に見られるため、多くの人数からの応募が見込まれる一方で、ミスマッチの可能性も高まります。

ですので、あまり経験やスキルを問わないポジションの募集に利用すると良いでしょう。

 

②自社のホームページやWEBサイト

自社で運用しているホームページやWEBサイトで募集をする方法です。

この方法ではコストも抑えられることもでき、自社に興味がある方の募集も見込まれるため、ミスマッチのリスクは抑えられます。

ですが、元々の閲覧数が少なければその分求人を集められないため注意しましょう。

また、もし新しくサイトを立ち上げるとなると、その分コストがかかるため、予算と相談し導入を検討しましょう。

 

③人材紹介サービス

人材紹介サービスを提供する会社が、自社の求める人材とマッチングを行い、登録されている求職者の中から、自社に適した人材を紹介してくれるというサービスです。

人材紹介会社でより自社にマッチ求職者を紹介してくれるため、ミスマッチが格段に下がります。

ある程度の予算はかかってしまいますが、PRや書類選考などの時間を短縮することができます。

またこのようなサービスは成果報酬型となっている場合がほとんどですので、空振りになることはまずありません。

 

④合同説明会

様々な団体や企業が開催しており、複数社が1つの会場でブースを設置し、来場者に対して自社の宣伝やアピール、個別相談会を実施するというものです。

求職者と直接話をすることができるため、自社を知らなかった、興味の無かった求職者にもアピールでき、新たな人材確保につながります。

またこのようなイベントは大規模なものとなると数日間で数万人が来場するものもあるため、新規人材の開拓にはとても効果的といえます。

 

⑤ダイレクトリクルーティング

近年、注目されている方法がダイレクトリクルーティングです。

これまでの「求人を出し、応募を待つ」という「受け」の方法ではなく、合同説明会や自社サイトなどから収集した気になる人材に、直接アプローチしていく「攻め」の方法です。

あなたに来てほしいという思いを、強く伝えることができるため、効果的な方法といえますが、大人数を採用したいという場合には担当者の負担が大きくなってしまうため、注意が必要です。

 

⑥リファラル

自社の社員の友人や知人を紹介してもらう方法です。

実際に働いている社員が、この人なら働けると思って紹介をするため、ミスマッチの可能性がとても低いことが特徴です。

また自社内で完結するため、予算もほぼかからないこともメリットになります。

これも⑤ダイレクトリクルーティングと同じく、個別にアプローチしていくため、大人数を採用には向きません。

 

⑦学内セミナー

大学や専門学校に出向き、就職セミナーを開催するという方法です。

これは新卒向けの方法で、建築や工業等、特定の領域を学んできた学生に対し直接アプローチできるため、よりターゲットに近い人材を集めることができます。

 

⑧SNS

ネット環境の普及により、より多くの求職者の目にとめる一番の方法が、X(旧Twitter)・Instagram・FacebookといったSNSでの発信です。

予算をかけることなく広く募集ができるため、多くの応募が見込まれますが、その分ターゲット外の応募を多くなるため、選考には時間もかかりますので注意が必要です。

 

6.障害者雇用における注意点

障害者雇用のための母集団形成を行っても、なかなか上手く進まないというケースがあります。

その原因はいくつか考えられ、それぞれ対処が必要となりますが、ここでは大きく分けて2つに分類し、解説していきます。

 

①障害者雇用の状況変化とターゲットのミスマッチ

現在の障害者雇用における状況は、若年層の精神障害者が多くなってきており、身体障害者の方が少ない状況です。

これまで長く障害者雇用に取り組まれていた企業であれば、障害への配慮のしやすさや定着率の高さから身体障害者を雇う傾向にありましたが、現在ではこれは非常に難しくなってきています。

そこで、まずはターゲットを見直してみましょう。

現在ターゲットとしている層で集まらないとなれば、障害の幅を拡げるか。

スキルや就労経験だけでなく、人柄や就労への想い・やる気を重視するか。

大切なことは、抱える障害の種別や特性ではなく、求職者自身が自社にマッチし、継続的に就労できるか、ということです。

 

②「障害者であること」が先行してしまっている

障害者雇用を初めて行う会社や、始めて間もない会社ですと、「障害者だから」という先入観や偏見によって、「この障害を抱えている方にはこの仕事は任せられない」「障害者だと四六時中見てないといけない」といった思いこみをしてしまっていることが多く見受けられます。

障害者雇用であっても、一般就労枠と同等業務を行える方も多くいらっしゃいます。

必要なことは、雇用する障害者がどのように働けるかを、より具体的にイメージするということです。

そのためには障害についての基礎知識を学び、理解を深めていきましょう。

その上で、実際に応募のあった障害者と話してみるとまた違った印象を受けると思います。

そして各々抱えている障害の特性によって、自社で働くことができるのか、その適性の有無を判断すると、更に母集団形成が進みます。

 

7.まとめ

ここまで障害者雇用における母集団形成について解説してきました。

障害者雇用における母集団形成でも、進め方や手法については一般就労枠と同様ですが、障害者雇用の場合は、障害に沿ったターゲット設定や「障害」そのものへの偏見が、母集団形成の障壁となることが分かったかと思います。

自社において母集団形成のプロセスが確立すれば、今後の人材募集においても力を発揮します。

是非、母集団形成に積極的に取り組み、障害者雇用を進めていただければと思います。