障害者雇用枠って実際どう?そのメリットデメリットについて | ESJコンサルティング
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障害者雇用枠って実際どう?そのメリットデメリットについて

  1. 目次
  2. 1.障害者雇用について
  3. 障害者雇用とは
  4. 障害者雇用枠の対象
  5. 2.一般就労枠との違い
  6. 3.障害者雇用のメリット・デメリット
  7. メリット
  8. デメリット
  9. 4.オープンとクローズ
  10. まとめ

障害者の方が就職や転職を考えるとき、「一般就労枠」とは別に「障害者雇用枠」という選択肢が現れます。しかし障害者雇用について知識や経験がない方は、障害者雇用とは一体どのようなものなのか、違いは何なのか、という疑問を持たれることと思います。

この記事では、障害者雇用とは何か、一般就労枠との違い、そして障害者雇用のメリット・デメリットを紹介します。就職・転職を目指すあなたにとって、どちらが合っているのか、一緒に考えていきましょう。

 

1.障害者雇用について

障害者雇用とは

障害者雇用枠とは、その名の通り、障害を抱える方専用の雇用枠を指します。

この障害者雇用は、国が障害を抱えた方でも、仕事をして自立した生活を送ることができるようにするために定めた「障害者雇用促進法」が基になっており、障害者雇用対策が進められています。この法律では企業に対して、全雇用者の2.3%以上の障害者雇用を義務付けています。現在その対象は「従業員43.5人以上の企業」とされていますが、これも徐々に増えていくと考えられています。

よってそれに伴って障害者雇用枠の求人数も増えていくことが予想されます。

 

障害者雇用枠の対象

障害を抱えていたとしても、全員が障害者雇用枠を応募できる訳ではなく、原則として「障害者手帳」を所持していることが条件となります。(手帳相当の書類でも可の場合もあります。)

障害者手帳には「精神障害者保健福祉手帳」「身体障害者手帳」「療育手帳」(知的障害者が対象)の3種類があり、2023年4月現在、発達障害専用の手帳がないので、発達障害の方は精神障害者保健福祉手帳の対象となることもあります。

また障害者手帳を持っている方は、障害者雇用枠だけでなく、一般就労枠にも応募することができます。一般就労枠の場合、障害者手帳を所持していることを企業へ伝えることは任意となるため、障害を抱えていることをあらかじめ伝えて就職することを「オープン」、隠して就職することを「クローズ」と言います。

このオープンとクローズについても、この後紹介していきたいと思います。

 

2.一般就労枠との違い

先に述べた通り、障害者手帳を所持している方は、障害者雇用枠と一般就労枠のどちらも応募することができます。裏を返せば、障害を抱えていても手帳が無ければ、一般就労枠にしか応募することができません。

それでは障害者雇用枠と一般就労枠にはどのような違いがあるのでしょうか。

一番の違いは、障害に対する理解や配慮がされることです。どのような障害を抱えているのか事前に把握した上で採用をしているので、勤務形態や職場の就労環境、通院休暇など様々な場面において配慮されることがほとんどです。

しかし一般就労枠が必ずしも悪いわけではなく、一般就労枠だと障害者雇用枠に比べて、「職種や求人数が多い」「給与が高い傾向にある」といったメリットもあります。

厚生労働省の調査では、障がい者の就職1年後の定着率は障害者雇用で平均70.4%、クローズの一般就労枠では30.8%と大きな差が見られ、あらかじめ障害を抱えていることを伝え、配慮を受けた方が長く就労を継続できる傾向にあるようです。

 

3.障害者雇用のメリット・デメリット

一般就労枠との違いについては理解できましたか?ここからは障害者雇用枠そのものにメリットとデメリットはあるのかを見ていきたいと思います。応募前にあらかじめ確認しておくことが大事です。

メリット

A.障害に対する配慮

2.一般就労枠との違いでも述べましたが、一番のメリットは障害に対する配慮がされることです。企業側はどのような障害を抱えているのか事前に把握し、採用をしているので、勤務形態や就労環境、通院休暇の他にも、通勤方法の変更やコミュニケーションツールの活用など、様々な配慮がなされます。

 

B.職場理解を得やすい

A.と似たところではありますが、既に障害者雇用を実施している企業等では、専用の相談窓口が設置されていたり、職場のバリアフリー化がされていることも多いです。受入体制が整っていると、障害者でも安心して仕事をすることができるでしょう。

 

C.支援機関のサポートが受けられる

就労移行支援事業所や障害者就労センターなどの支援機関が関わっているのであれば、採用後も就労定着支援や、企業との調整などの支援を受けることができます。

また、ジョブコーチと呼ばれる障害者支援の専門家もおり、これは障がい者だけではなく、採用した企業のサポートもしてくれるため、企業側のメリットにもなります。

 

D.大手企業への採用を目指せる

1.障害者雇用についての冒頭でも触れていますが、企業は法律で障がい者の法定雇用率が定められており、これは大手の企業であればあるほど、障害者雇用の雇用人数も増えていきます。

ただ障害者雇用枠に応募できる人が障害者手帳を持っている障がい者に限られるため、一般就労枠に比べ競争率が低いです。CSRの観点からも積極的な障害者雇用を進めている大手偉業も多いため、一般就労枠ではなかなか難しい企業に採用される可能性があります。

 

デメリット

A.求人数自体が少ない

障害者雇用枠の求人を探すには様々な手段がありますが、障害者手帳所持という条件がネックとなり、東京、大阪、名古屋といった地域では求人数も多く見られますが、地方都市等では全体的に少なくなる傾向にあります。これは大都市に大手企業が集中していることが原因です。

希望する職種の求人がなかったり、あっても通勤できないといったことも見受けられます。

※求人の探し方については、こちらの記事をご覧ください。

 

B.給与が安い傾向にある

もちろん企業が障がい者だからといって給与を下げているのではなく、これには原因があります。主な原因として、正規雇用やフルタイムで働く人の割合が少ないこと、障害の状態からフルタイム勤務が体力的にも精神的にも難しく、短時間勤務を希望しているケースが多いといったことが挙げられます。

 

C.簡単な仕事しか任せられないことがある

B.とも繋がるデメリットですが、障害の内容や状態によって企業側が任せられる仕事と任せられない仕事があります。

例えば他人の目があると精神状態が悪化してしまうような症状がある方には対人業務をさせることはできないですし、足が不自由な方には外回りを任せるのは酷というものです。

そのため、最終的に任せられる仕事が事務作業や軽作業になってしまいがちで、バリバリ仕事をしたいといった方にとっては、デメリットと言えるでしょう。

 

D.ストレスを感じる方もいる

障害雇用枠なので、企業側にはあなたが障害を抱えているということは把握されています。企業側の理解や配慮があったとしても、そもそも上司や同僚に障がい者として見られることにストレスを感じる方もいるでしょう。

 

4.オープンとクローズ

障害を抱えていることをあらかじめ伝えて就職することを「オープン」、伝えずに就職することを「クローズ」と言います。これは障害者雇用枠でも、人事や上司など最低限の人にのみ伝えておき、他の職員には伝えないといったクローズの形もあります。

オープンとクローズではその後働き方に大きな違いが出てきます。どちらにもメリット・デメリットはあるので、あなたにとってどちらが合っているのか、確認していきましょう。

①オープン(障がい者であることを公開する)

A.メリット

・企業側の理解や様々な配慮を受けられる(通院、服薬、業務内容、通勤方法など)

・障がい者に対する支援制度を利用できる(相談や支援機関の利用)

・企業や働く職場の人たちに、障害があることを知られてしまうという不安を抱く必要がない

 

B.デメリット

・障害者雇用枠の求人数は少ない

・仕事内容に制限がかかる場合がある

・企業や働く職場の人たちに「障がい者」として見られてしまう

 

②クローズ(障がい者であることを公開しない)

クローズのメリット・デメリットは基本的に①オープンのメリット・デメリットが逆になったものと言えます。

例えばクローズのメリットは、オープンのデメリットの逆のことで「求人数が多い、仕事内容に制限がない、障がい者と見られない」といった具合です。

 

ここで挙げたものは一例に過ぎませんが、オープンのメリットを受けられないことがクローズのデメリットであり、オープンのデメリットがないことがクローズのメリットであると覚えておきましょう。

 

まとめ

ここまで障害者雇用について、一般就労枠との違いやそのメリット・デメリットを見てきました。障害者雇用とは、障がい者の方が、障害を抱えていても自立した生活を送るために、仕事やその働き方の選択肢の幅を拡げるための制度です。しかし障害者雇用にもメリット・デメリットがあり、そしてその先にもオープン・クローズといった種類もあることは理解できたかと思います。

どんな仕事、どんな働き方であっても、一番大切なことは「あなたの障害に適した仕事、働き方か」ということです。もしそれらが分からない時には、相談できるところが沢山あります。

是非「あなたの障害に適した仕事、働き方」を一緒に探していきましょう。