精神障害患者、うつ病患者が増加した理由について | ESJコンサルティング

精神障害患者、うつ病患者が増加した理由について

  1. 目次
  2. 日本の精神疾患を有する患者数の推移
  3. 精神障害者保健福祉手帳交付台帳登載数
  4. 統合失調症の再発は減ってきている
  5. うつ病の人は本当に増えているのか?
  6. 終わりに

ESJメディアをご覧頂きありがとうございます。代表の宇田川です。

今回は精神障害者の方、うつ病の方が増加した理由に焦点をあてました。

日本の精神疾患患者数は約20年で急増しています。

特に「うつ」という言葉は、もはや精神医学の専門用語ではなく一般的に使われる単語となっています。

何故ここまで精神障害者が増加したのか、一般的化したのかについて、本記事に情報をまとめました。

直接障害者雇用に関して役に立つ情報ではありませんが、「障害に関する情報についての理解を深める機会になると存じますので、お時間ありましたらご覧ください。

本日もよろしくお願い致します。

日本の精神疾患を有する患者数の推移

我が国の精神疾患を有する総患者数は、約419.3万人(入院患者数:約30.2万人、外来患者数:約389.1万人)(平成29年患者調査)へと急激な増加が続いており、400万人を超える水準となっています。

(引用:https://www.mhlw-houkatsucare-ikou.jp/guide/r02-cccsguideline-p1.pdf)

精神疾患を有する総患者数の推移

 

精神障害者保健福祉手帳交付台帳登載数

令和元年度末の精神障害者保健福祉手帳交付台帳登載数(有効期限切れを除く。)は1,135,450人で、平成30年度に比べ72,750人(6.8%)増加しています。

(引用:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/19/dl/kekka1.pdf)

 

疾患者数は約419.3万人ですが、そのうちの約25%のみが障害者手帳を取得している状況となっています。

 

統合失調症の再発は減ってきている

直近のデータを見る限り、日本の精神患者数は増加の一途を辿っています。

精神疾患の内訳として、統合失調症は全体の約20%となっています。

以前は精神疾患といえば統合失調症が代表的な疾患でしたが、「統合失調症」は「脳の機能障害」であることが判明し、治療法が進歩しています。

薬の進化や精神科リハビリと併せて継続的に治療することで再発率が下がっており、患者数の増加が抑制されています。

うつ病の人は本当に増えているのか?

うつ病に罹患している人が増えているということもありますが、「うつ病」の世間的認知度が広がり、受診者が急激に増えていることが考えられます。

うつ病患者が実際に増えた要因としては、バブル崩壊やリーマンショック以降の不況が原因として考えられます。

今まで安定していた状況から急に将来への不安を感じるような状況に陥るのは強烈なストレスがかかりますので、精神的な障害を患う理由としては十分でしょう。

とはいえ、不況になったからっていうことだけが理由だというのは違うと思います。

「うつ病」という病気の認知度がここ20年くらいで急激に広まったのが、一番の要因ではないでしょうか?

国の施策として、精神病に関する認知度が広げようというものがあり、これが上手くいきました。

日本では2004年9月に策定した「精神保健福祉施策の改革ビジョン」という方針を決定しており、全国の精神科病院が戦略を策定、実行を進めていました。

病院が治療薬の普及を行い、「外来で治療可能な病気」であるということを理解させるために、製薬会社などによるうつ病啓発キャンペーンによる認知度の上昇、種々の啓蒙活動が行われ、それに乗っかりうつ病を取り上げたドラマや映画の公開も行われました。

日本では、「ツレがうつになりまして。」というコミックを原作に、藤原紀香、原田泰造、宮﨑あおい、堺雅人という錚々たる顔ぶれが演じたため、認知度向上に一役買ったようにも思っています。

引用:映画.comより

また、私の所感と実体験からの情報ですと、10年前と現在では病院がうつ病だと認定するハードルもかなり下がってきているように感じています。

2014年の精神保健福祉法改正もされた影響もあり、病院側のうつ病に関する認知も変化しています。

10年くらい前ですと、精神病院へ相談をしに行っても1度目では「うつ病」と認定されない場合も多くあったんですよね。

過度な業務負担の影響で、睡眠障害や気分の落ち込み(急に涙が溢れたり、強烈な不安を感じる等)、意欲低下といった症状が明らかに発生していた場合でも

「うつ病ではないです。疲れてるだけですね。」

と、何の支援や処方もなく帰らせれた経験があると、複数の方からお話をおかがったことがあります。

その後仕事中に倒れてしまったり、帰宅中に電車から降りられなくなり、もう一度受診をすることでやっと診断書が貰るような、そういう時代もありました。

現在は、上記のような明らかに行き過ぎた状況でなくても、診断書が下りるケースも増えています。

そして現在では精神障害に関する認知は急激に普及し、「あれ、もしかして自分もうつ病なんじゃないのか?」と思い病院に相談する人も増えいています。

その結果、更に認定もされやすくなり、精神疾患患者数は結果的に増え、精神疾患の内訳として最も多い、全体の約30%を占めるまでになったのではないかと考えています。

終わりに

法定雇用率の変更からも分かる通り、国の障害者施策は今後も見直しがされます。

労働力人口も減少している傾向にあり、企業に対して障害者を雇用してもらうような施策は更に増えるでしょう。

労働人口に対する精神障害者の割合は今後も増えると思いますので、企業は身体障害者だけでなく精神障害者の雇用を進める必要があります。

精神障害者の雇用が進まない理由は、一般社員が精神障害者への理解が浅いからです。

映画やドラマだけでなく、今はyoutubeでも精神障害者に関しての情報が発信されていますので、是非一度情報に触れてみてください。

彼らの苦しみについて理解できるとともに、「思っているイメージとは違い、一緒に働いてもらえるのでは?」と感じていたいだける可能性もあります。

働く意欲のある精神障害者についての具体的な情報を共有し、企業が精神障害者を採用する可能性を具体的にイメージしてもらうことも重要だと考えています。

弊社に登録いただいている障害者の情報をお伝えすることもできますので、よろしければご相談ください。

 

本日もありがとうございました。