障害者が退職する理由とはなにか?企業側ができる対策はあるのか? | ESJコンサルティング

障害者が退職する理由とはなにか?企業側ができる対策はあるのか?

  1. 目次
  2. 〇 障害者が退職する理由とはなにか?
  3. 【勤務条件に係る退職理由】
  4. 【障害特性の確認不足による退職理由】
  5. 【自身では対処できない理由】
  6. 〇 退職を防ぐには、まず初期段階でのミスマッチを減らすことが必要
  7. 〇 そもそも任せる業務が無かったり、欲しい人材を採用できない場合はどうすればいいのか?
  8. 〇 最後に
ESJメディアをご覧頂きありがとうございます。 代表の宇田川です。 今回は障害者の方が退職する理由に焦点をあて、企業担当者がどのような対策ができるかについてお話いたします。 以前弊社のメディア記事では、すでに離職率と、職場定着率についてのお話をさせていただいておりますが、私の経験を増えた補足をお伝えできればと思います。 障害者雇用における離職率と、職場定着率向上のポイントとは?
皆様ご存じの通り、障害者雇用促進法43条第1項により、民間企業はある一定の障害者の雇用が義務付けられています。 定められている法定雇用率は、2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%と段階的に引き上げられます。この上昇に対応するには、いかに障害者に長く働いていただくかも重要となります。 就職後にどのような悩みを持つ傾向にあるか、どういう理由で退職につながるのかを把握いただき、フォローアップにぜひお役立てください

〇 障害者が退職する理由とはなにか?

  障害者が退職する理由については、厚生労働省が調査結果を開示しています。 その調査結果を参考にして、障害者の方の退職理由を分類し、それぞれの対策方法に関しての所感をお伝えします。

【勤務条件に係る退職理由】

●賃金、労働条件に不満があったため ●通勤が困難だったため より良い労働条件の企業に転職できるなら、辞めるのも仕方ないですよね? 弊社に相談いただく方の多くも、「勤め先の給与が最低賃金だから少しでも良い条件で働きたい」と考えて就職活動をされています。 しかし、給与を上げることは簡単ではございませんので、それ以外のところで満足度を上げて頂く必要があります。 通勤が困難なことに関しては、働く方の適正によりますがテレワークを推進してあげたりすれば満足度向上につながるかもしれません。 とはいえ、障害者の働く環境はテレワーク勤務適正が無い場合も多いので、実現が難しい場合が多いです。

【障害特性の確認不足による退職理由】

●会社の配慮が不十分だったため ●疲れやすいため、続けることができなかったため ●作業、能率面で適応できなかったため これらの退職理由は、事前に情報を把握していれば対策可能です。 「事前に情報把握する」なんて無理だと思われるかもしれません。実際面接するだけでは確かに分からないでしょう。 可能な対策としては、 ・障害者の状況を把握しているエージェントを使う ・就労移行支援所に通っていた経験があり、直近の通所状況を確認できている人の採用を視野にいれる ・勤続年数を確認する ・直近の離職期間は長くないか 当然のことだと思われかもしれません。 エージェントは良い方や良い企業を探しておくためつながりを持っておくことが有効です。 障害に関する知識が豊富なエージェントは、障害者の方とコミュニケーションをよく取り、多くの情報を持っている傾向にあります。 採用担当者には話せないようなこともエージェントには話してくれる場合もあり、その情報をちゃんと企業に伝えてくれれば採用基準として活用できるかもしれません。
ただし、エージェント業も営利目的の行為のため、転職希望者を過大にアピールし企業に推薦する方々もいるので、その点は注意ください。
 

【自身では対処できない理由】

●仕事内容があわなかったため ●職場の雰囲気・人間関係が合わなかった ●家庭の事情のため ●症状が悪化(再発)したため 仕事が合わなかったことと、人間関係のミスマッチに関しては、一般就職でも退職につながるケースも多々ありますよね。 どれだけ配慮しようとも、合わないと思われてしまったら採用担当としては打つ手もないので、どうしようもないケースに入れました。 あとは、家庭の事情や症状の悪化に関してもコントロール不能ですので、これも致し方ないでしょう。 こういうコントロール不能な事項も多々ありますので、企業側は多くの採用をしてリスクヘッジされているのかと存じます。

〇 退職を防ぐには、まず初期段階でのミスマッチを減らすことが必要

ここまで退職理由についてみてきましたが、そもそも初期段階のミスマッチがなければ退職にはつながりづらいです。 障害者の方は、だいたい3ヶ月~6ヶ月問題なく就労できれば、ほぼ定着します。 「障害者トライアル雇用制度」の活用を検討してみててください。 この制度を利用すれば、採用時のミスマッチを減らし、長く定着してくれる障害者を獲得しやすくなります。 障害者の方は、過去に就職で失敗した経験や、働いてきた環境のトラウマがある等、様々な事情があります。 多くの方が自信を持つことができていないのです。 もし、トライアル期間があれば、障害者の方は自分が本当に活躍できるのか?迷惑にならないか?といった部分を実際の仕事を通して知り、自信につなげることができます。 実際に、障害者の中には「障害者トライアル雇用制度」での就労機会を提供してくれる企業に対してポジティブな印象を持つ場合もあります。 企業側も、補助金をもらえたり、実際の働きぶりを踏まえて本契約に移行できるというメリットがあります。手続きが煩雑ですが、上手くいっていない企業様ほど活用していただきたいです。

〇 そもそも任せる業務が無かったり、欲しい人材を採用できない場合はどうすればいいのか?

そのような場合は、サテライト型や農園型を代表とした、障害者雇用の支援サービスを活用するべきです。 国が法律を定めているため、企業としても責務を果たす必要があります。CSRとかダイバーシティ推進とかをしてないと世間からのバッシングの対象にもなりかねませんからね。 多くの企業が求める障害者は、「ほとんど健常者と同スキルの方」か「身体障害者」であり、そのような障害者の方の獲得競争は熾烈となっています。 大手の知名度の高い企業、突き抜けて労働条件が良い、障害者の働き方の希望にマッチする等々、何かポジティブな要素がないなら採用は不可能でしょう。 一般採用と同じで「ポジティブな要素が全くないのに良い人を採用したい」というのは、まったく通用しません。 求める人材は採用できないけど障害者雇用の推進はしたいから、「とりあえず障害者を採用だけして、現場の人に任せればいいか」となっている場合も存在します。 前向きに頑張ってくれる担当者もいますが、その場合通常業務以外の障害者の管理負担が激増するため、今まで頑張ってくれていた一般社員の方の不満が募り、辞めてしまうことも考えられます。 障害者雇用支援サービスでは、「障害者雇用が推進できない」「障害者雇用が失敗する」という課題は絶対に解決できます。 採用できる障害特性の幅も広がりますので、障害者の方を採用しやすくなります。 また、障害者雇用の知見や経験があるコンサルタントが管理指導をしてくれるため、担当者の負担も軽減しながらも障害のある従業員が退職するリスクを下げることもできます。 ひとくくりに「障害者雇用代行ビジネス」のように揶揄される場合もありますが、一部の不適切なサービス提供をする企業が存在するのも事実です。 しかし、企業のサービスをしっかりと吟味し、選択肢として検討する価値は十分あるかと存じます。 弊社でもeスポーツを活用した障害者雇用支援サービスを展開しております。 ご興味がありましたら一度サービスページをご覧ください。

〇 最後に

障害者の方が退職する理由は、一般の方と同じような理由も多くありますが、障害者だからこそ気を付けてあげるべき事項も多くあります。 今回はよくある退職理由をいくつかご紹介しましたが、企業ごとに退職につながる理由の比重が異なる場合もありますので、傾向も分析されてみてください。 せっかく採用できた良い人材を逃がさないためにも、今回の記事がお役に立てたら幸いです。
今回もありがとうございました。