障害者雇用の基本理念のおさらい、企業の対応策に関して | ESJコンサルティング

障害者雇用の基本理念のおさらい、企業の対応策に関して

  1. 目次
  2. 1.障害者雇用の理念とは?
  3. 人格や個性を尊重する
  4. 障害者雇用を推進する事業主の責務とはなにか
  5. 障害者の能力開発と自立の支援
  6. 2.理念の達成方法に関して
  7. 最後に

ESJメディアをご覧いただきありがとうございます。
代表の宇田川です。

「多様性」や「包括性」という言葉が日常的に使われるようになった今、障害者もまたその一部として社会に貢献し、多くの企業が障害者雇用を徐々に推進することができるようになっています。

しかし、多くの企業は、「法定義務だから障害者雇用を行う」と考えているように感じます。これは障害者雇用促進法の基本理念が浸透していないからだと考えております。

「義務だから障害者雇用を行う」という考えから脱却し、基本理念を理解いただくことでより良い障害者雇用の推進をしていただけるように、今回は障害者雇用促進法の基本理念を解説いたします。

今回もどうぞよろしくお願いいたします。

1.障害者雇用の理念とは?

障害者雇用には基本となる理念があり、理念達成のために障害者雇用促進法が制定されております。

障害者の雇用の促進等に関する法律においては、障害者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとされています。
また、雇用分野における障害者であることを理由とし た(障害のない人との)不当な差別的取扱いが禁止されています。

障害者雇用施策は、こうした個人の尊厳の理念に立脚した障害者の社会的自立、すなわち職業を通じた自立を実現するという基本的理念の下で進められています。

この理念を支援するために、地方公共団体や民間企業等の事業主は、障害者が有為な職業人として自立しようとする努力に対して協力し、その雇用を促進する特段の必要性を理解し、優先雇用施策を講ずること、その雇用の安定を図るよう努めることの責務を有しているとされています。

国際的にも、国連障害者の権利に関する条約(CRPD)があり、障害者の権利と尊厳を保護し、社会参加と平等を促進することを目的としています。多くの国がこの条約を批准し、障害者に対する差別を禁止しています。

 

人格や個性を尊重する

障害者施策の基本理念である「相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」に向けて、職業を通じた社会参加を支援できるかが重要です。

障害者のみならず、誰もが生き生きと働ける職場、生き生きと生活できる社会を作ることが目指されています。

障害者雇用を推進する事業主の責務とはなにか

事業主が障害者雇用を推進する際の責務は、法律や社会的責任、そして組織の価値観に基づくものがあります。

法律と社会的責任に関しては、法定雇用率を設定することで事業主に貢献を求められています。
一定規模以上の事業主は法定の雇用率に基づき、障がい者を雇用しなければならないと定められています。法律と社会的責任に関しては、やり方次第では達成がしやすいでしょう。実際、法律や社会的責任を達成することを優先するという考えで、大量の障害者を雇用する企業も多く存在します。

しかし、組織の価値観に基づくものに関しては、企業毎の特色が現れます。

全ての従業員を公平に扱うことを重視するのであれば、環境整備や既存の従業員の理解の推進を行い、企業の特色に合った障害者を雇用するために平等な機会を与えるという動きも問題ないでしょう。これであれば、差別にもつながらずに障害者雇用の推進をしている企業としてもアピールできるはずです。

障害者の能力開発と自立の支援

障害者を雇用するだけでは、理念に沿った動きとはいえません。

障害者である労働者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとすると定められています。

基本理念にも記載のある、「相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」に向けては、事業主は障害者が有為な職業人として自立しようとする努力に協力することが求められています。

過去の厚生労働省の調査により、一部の就労形態において能力を発揮する機会がないという報告もあり、令和5年4月からは、事業主の責務に「職業能力の開発及び向上に関する措置」が含まれるようになりました。

企業としては、雇用している障害者のスキルチェックシートを作成したり、定期的な面談を行うことで職務能力の確認を行い、必要に応じたサポートや更に高度な作業の振り分けを行うことが必要です。

2.理念の達成方法に関して

このような理念が設定されている背景には、健常者から障害者への理解が浅いことがあげられます。
今は健康で問題のない健常者の方も、急に障害を持つ可能性があります。事故や生活習慣による病気の発生、精神的な障害など、様々な可能性が考えられます。

そのため、企業は障害や病気に関して啓蒙し、知る機会を共有することも重要ではないでしょうか。障害は目に見えないことも多くあるため、顔見知りであったとしても状況を把握することは難しいです。
そのため、先ずは社内で雇用している障害者の方の抱えている障害について紹介する機会を設け、どういうことで困っていたり、生活でどんな不便を感じているのか、どのような治療をしているのか、ということを公開してみるのはいかがでしょうか。

プライバシーの観点から考えると、公表することを快く思わない方もいらっしゃるでしょう。しかし、まったく知らない赤の他人の情報を知るよりも、同じ職場で働く人のことであれば多少なりとも意識に残り、少しでも障害に対しての理解が推進されると考えています。

こういう小さい理解があれば、障害者の方も委縮せずに企業活動に貢献しやすくなります。

理想的な状況は、障害者だけでなく、チーム全体がお互いの抱える事情を理解・配慮し、成果を創り上げることを目標設定できることでしょう。そうすれば、自ずと障害者のみならず、誰もが生き生きと働ける職場になり、ひいては全ての人が生き生きと生活できる会社になるはずです。

最後に

障害者の雇用は、経済社会を構成する労働者の一員としての機会を与えます。
法的な義務だけでなく、障害者の社会的自立と職業を通じた自立を実現することが目的となっています。
企業の責務だけでなく、障害に関しての理解促進をすることも重要です。
障害者でも健常者でも、誰もが生き生きと働き、共生する社会の実現を目指す理念が根本にあります。

企業は、障害のあるなしに関わらず、全ての従業員の理解と協力を基に、より良い職場環境を構築することが求められています。

 

弊社では、将来的な障害者雇用の良い循環を作るため、ノーマライゼーション推進のために、障害者雇用の支援を行っております。
その中で、採用している障害者の特性を理解しよう、皆に知ってもらおうと努力していただいています。

弊社では、採用だけでサポートを終了するのではなく、その後の障害者雇用の理解推進のためのコンサルティングサポートも行っております。
障害者雇用でお困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

サービス|ESJコンサルティング

引き続き、企業が障害者雇用を適切に進めるための情報提供を進めてまいります。

今回もお付き合いいただきありがとうございました。