事業所の数だけ個性あり!自分に合った就労移行支援事業所の選び方 | ESJコンサルティング
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事業所の数だけ個性あり!自分に合った就労移行支援事業所の選び方

  1. 目次
  2. 寄稿者について(当事者ならではの視点)
  3. 就労移行支援とは
  4. 検討するのはこれだけ!就労移行支援事業所を選ぶ3つのポイント
  5. ①徒歩通所か電車通所か
  6. ②支援員や支援プログラムとの相性がいいかどうか
  7. ③交通費や食費が出るかどうか
  8. 事業所は十人十色。自分の居場所を見つけよう

発達障害や精神障がい者にとって、大きな壁となるのが「就職」です。

正社員やパートタイマーなどの雇用形態に関わらず、誰しもが「社会に出て働きたい」という思いを持っているでしょう。しかし、障がい者にとってはそのハードルがとてつもなく高く感じてしまうのです。

そのようなハードルを越えようと考えた時に、就労移行支援事業所の利用を考えるかと思います。

本記事は、障がいを持つ当事者の方により、「自分に合った就労移行支援事業所の選び方」について執筆いただいております。

当事者ならではの体験談や想いも含めた記事となっており、より当事者にとって参考になる内容になっています。

ぜひ最後までご覧ください。

寄稿者について(当事者ならではの視点)

筆者は高校2年のときに発達障害(ADHD・ASD)の診断を受け、精神障害者福祉手帳2級を取得しております。発達障害の特性としては聴覚過敏が強く、ワイヤレスイヤホンが欠かせない生活を送っています。

筆者が就労移行支援事業所という言葉を知ったのは、大学卒業後まもなくのことでした。

2020年に大学を卒業しましたが、そこから感染症の影響もあり上手くいかずにいました。朝起きても思考や気力が一切湧いてこず、最終的には「感情が無くなる」という状態にまで堕ちました。

このような状況だった筆者は、2つの就労移行支援事業所を利用し、無事今は就職して活躍していらっしゃいます。

就労移行支援とは

就労移行支援について簡単にご説明します。

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づいた福祉サービスで原則無料で利用できます。障がい者の方が企業で働けるよう、就労プログラムの提供やカウンセリングなどを通してサポートを行っていきます。

筆者は前述のとおり、「感情が無くなる」という状態にまで堕ちていました。

しかし、就労移行支援を知ってからは生活リズムも安定し、最終的にはSST(ソーシャルスキルトレーニング)までこなせるようになったので、利用する価値は確かにあります。

このような就労移行支援を実施してくれる事業所が就労移行支援事業所となります。

「生活リズムを安定させたい」「体調と相談しながら自分のペースで通所したい」という考えがあれば、是非一度検討してみて下さいね。

次は、そのような就労移行支援事業所を選び3つのポイントをご紹介します!

検討するのはこれだけ!就労移行支援事業所を選ぶ3つのポイント

筆者は、就労移行支援事業所を選ぶ際のポイントは3つあると考えています。

自分に合った事業所がどこか分からない方は、以下の基準で考えてみてください。

①徒歩通所か電車通所か

1つ目は、事業所への通所方法です。

正直、徒歩と電車では比べ物にならないくらいストレスが違います。

特に障がいをお持ち方にとって、「電車に乗る」という行為に抵抗を感じてしまう方も少なくないはずです。

車内の空気や突然の爆音、服の匂いなど感覚過敏が強い傾向がある方にとっては、事業所に向かうだけで疲れてしまうという悪影響を及ぼす可能性がかなり高いです。

筆者も乗車するだけで憂鬱になった経験を何度もしているので、自分にとって通いやすいかどうかも重要なポイントです。

②支援員や支援プログラムとの相性がいいかどうか

2つ目は、支援員やプログラムとの相性です。

支援員とはいえ人間なので、「自分に合わないな」と感じる人が必ず一人はいるはずです。

支援員によっては事業所入所を強制するような接し方をする人もいなくはないので、実際に見学に行く際は支援員の人柄もしっかりと観察するようにしてください。

ほとんどの事業所は無料相談会やカリキュラム体験などを設けています。短い期間ではありますが、ミスマッチを防ぐためにも、どのような事業所なのかを確認しましょう。

また、プログラム内容も合わないというのも大きな理由でした。

最初に通っていた支援所は、発声練習からスピーチまでを強制的に実施するような場所でした。

このように、担当員が合わないこと、またプログラムも筆者には合わず、最初の事業所はわずか4か月で退所しています。

2つ目の支援所は支援員さんも信頼でき、安心しながら自分の体調を整えることができました。事業所選びは大事だと強く感じました。

繰り返しにはなりますが、就労移行支援事業所は最長で2年間利用することになるため、後悔する選択をしないように吟味しましょう。

③交通費や食費が出るかどうか

最後の3つ目は、交通費や食費の負担の有無です。

さきほど原則無料とお伝えしましたが、それはあくまで利用料の話です。

利用料は厚生労働省によって9割が自治体、1割が利用者本人と定められています。

しかし本人の収入によって利用料金が決定するため、実際の調査では9割の人が無料で利用できるようになっています。

しかし、交通費や食費は事業所負担の場合と、利用者負担の場合、2種類に分かれます。

自治体によって交通費などの助成金が支給されない場合があるので、通所を決めたときの最後の後押しとして、助成金支給も忘れないようにしてください。

大阪の場合、また当時の話になるため状況が変わっている可能性もありますが、大阪市ですと交通費はなどが支給されませんでした。

事業所の管轄が堺市だった時は、食費などの助成金支給がありました。

この助成金支給があるかどうかは生活に直結します。

自治体によって体制が大きく異なるので、通所を検討している方は自治体に確認を取るようにしてください。

利用者の多くは無収入で通所しているので、経済的支援は最重要視すべき項目です。

「ここがいい!」と思っても、経済的支援がないと魅力が半減してしまうこともあるので、支援員や市役所の担当者に確認をしてから、通所手続きをするようにしてください。

事業所は十人十色。自分の居場所を見つけよう

就労移行で過ごせる最長の期間は2年です。長い期間利用することになる場合もあります。

先ほどのポイントもですが、何よりも大事なのはできるだけたくさんの事業所を見て肌で感じることです。

実際、筆者はこの作業を怠ったため、4か月を無駄にした経験をしています。視野を広げるためにも複数の事業所を見学して体験することは非常に大事な作業です。

自分の得意なことや興味のある職種があればそこに特化した場所を選ぶのもいいですし、ビジネスマナーを基礎から身に着けたいならプログラムが充実している所を選ぶのもいいでしょう。

事業所の数だけ個性と強みがあるので、後悔しないように積極的に行動して、働くための第一歩をぜひ就労移行で踏み出してくださいね。