【徹底解説】就労移行支援って本当にいいの?体験者が感じたメリット・デメリット | ESJコンサルティング
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【徹底解説】就労移行支援って本当にいいの?体験者が感じたメリット・デメリット

  1. 目次
  2. 著者についての簡単なプロフィール
  3. 就労移行支援とは
  4. 筆者が感じた就労移行支援のメリット・デメリット
  5. 就労移行支援のメリット3選
  6. 就労移行支援のデメリット3選
  7. 就労移行は働くための第一歩。まずは周りに相談を

発達障害などの障がい者にとって、人生の大きな分岐点となるのが「就職」です。

働きたいという気持ちが強くても、どのサービスを利用するかどうか迷う人も多いでしょう。

今回は、多くの方が利用を検討するであろう就労移行支援のメリット・デメリットをご紹介します。

筆者も2つの事業所を渡り歩き無事に今の職場にたどり着きましたので、実体験も含めて就労移行支援について解説していきます。

著者についての簡単なプロフィール

私は17歳で発達障害(ADHD・ASD)の診断を受けており、精神障害者福祉手帳2級を取得しております。

発達障害の特性である聴覚過敏が強く、ワイヤレスイヤホンが欠かせない日々を送っております。

私が初めて「就労移行支援」という言葉を知ったのは、大学卒業直後でした。

感染症の影響で就活が滞ってしまい「障がい者の私でも無事に就職できるんだろうか」と、不安な毎日を送っていました。

そんな時に目に留まったのが就労移行支援事業所でした。

このサービスのおかげで今の職場にたどり着きましたので、出会って良かったなと心から感じています。

就労移行支援とは

就労移行支援とは身体・精神・知的などの障害を持つ方を対象にした福祉サービスで、原則無料で利用できます。

利用者の収入に応じて利用料金が決まる仕組みになっております。

自治体によって形態が違うので、利用する際はお住まいの自治体に相談するようにしてください。

各々に合わせた就労カリキュラムの提供や支援計画書を作成してくれる事業所が多く、支援員のカウンセリングや企業実習などが行えます。

また自分と同じような障害や境遇を持った方々と触れ合えるので、切磋琢磨しながら就労への意識を高め合える場でもあります。

 しかし利用期間は2年と定められているため、甘えることなくしっかり目標を持って過ごすようにしましょう。

筆者が感じた就労移行支援のメリット・デメリット

利用者の就労意欲に応えるべく無料で利用できるなどメリットが多いと思われがちな就労移行支援ですが、デメリットも存在します。

ここからは実体験も交え就労移行支援のメリット・デメリットを解説していきます。

就労移行支援のメリット3選

生活リズムが安定する

ほとんどの就労移行支援事業所では通所時間が決まっているため、生活リズムが安定しやすくなります。

たとえば「10時から15時まで通所」というスケジュールだった場合、その前後で何をするべきなのかを逆算して考えることで、生活リズムの基盤ができメンタルも自然と安定するようになります。

また、「この時間まで事業所で頑張る」とモチベーションも保てるようになるので、メリハリも付くようになります。

筆者の場合、通所初期の頃は徹底して生活リズムや体調を安定させることにフォーカスし、週3日はフル通所するようにと支援員からアドバイスをもらっていました。

最初はハードルが高く感じましたが、1か月で無遅刻無欠勤で通所できるようになり、最終的には事業所帰りに買い物までできる心の余裕も生まれました。

生活習慣や体調の安定を目指している人には、非常に魅力的なサービスです。

②コミュニケーションスキルが向上する

働くうえでコミュニケーション以上に大事なものはありません。

就労移行支援では、報連相などのコミュニケーションスキルもゼロから習得できます。

相手を不快にさせない断り方を考えるSST(ソーシャルスキルトレーニング)や、面接官に好感を持たせるビジネスマナーなど、バリエーション豊富なカリキュラムを揃えている事業所が多いです。

発達障害の中でもASD(自閉症スペクトラム障害)の傾向が強い人の場合、人前で話すことや上手に断るのが苦手などと、コミュニケーションに抵抗を感じてしまうケースが多いはずです。

しかし就労移行支援事業所ではその面も考慮したカリキュラムが多く揃っているので、場数を踏むと必ずできるようになっていきます。

「働きたいけど、コミュニケーションに自信がない…」という方にも、就労移行支援はオススメです。

③企業とのつながりができる

就労移行事業所によっては、職場実習に力を入れているところも多いです。

支援員が利用者の特性や特技を理解したうえで、「この職場に実習に行ってみないか」と提案してくれるのです。

実際私が今働いている職場も事業所の卒業生らが多く雇用されているので、事業所によって職場は変わるのだと強く感じています。

企業の障害者雇用への姿勢にたくさん触れることが出来るので、「職場を知る」「企業を知る」機会があるのは、就労移行支援事業所の一番のメリットだと言えるでしょう。

就労移行支援のデメリット3選

相性が合わない

就労移行支援事業所の支援員は専門知識を持った人たちですから、私たちの特性や障害も熟知しています。

しかしよく調べずに軽い気持ちで通所してしまうと痛い目を見ることもあります。

実際筆者は、最初の事業所は支援員や事業所の環境が全く合わずわずか4か月で退所した経験をしています。

自分にとってどの事業所かを見極めるのは非常に重要な作業なので、正式に通所する前にできるだけ多くの事業所に触れて魅力と課題を肌で感じておきましょう。

また、支援員との相性も非常に重要です。

支援員とはいえ人間なので、「この人自分に合わないな」と直感的に感じることもあるでしょう。

そう感じた時は迷わず自分の直感を優先して、その事業所は候補から外すようにしてください。

事業所の数だけ個性があるので、無料体験や説明会を通じて自分の理想とする事業所を選ぶようにしましょう。

②食費や交通費などが支給されない

就労移行支援事業所の利用料金は原則無料とお伝えしましたが、例外があります。

それは、管轄する自治体によって交通費などの経費が支給されないケースがあるからです。

就労移行支援は利用者の収入によって利用料が決まる仕組みになっており、厚生労働省では自治体負担が9割、利用者負担が1割と定められています。

筆者の場合は、最初の事業所の管轄が大阪市でしたが交通費などが支給されず非常に困った経験をしています。

しかし次の事業所では管轄が堺市だったので交通費の援助があり、非常に助かりました。

このように、自治体によって交通費などの経費が支給されないケースがよくあるので、原則無料という言葉に惑わされずに通所決定の最後の後押しとして経済的支援があるかどうか、お住まいの自治体でしっかりと確認するようにしましょう。

③通所しても賃金が発生しない

就労移行支援の最大のデメリットは、賃金が発生しないことです。

最低賃金が発生する就労継続支援とは違い、就労移行支援はあくまで「障がい者が働けるようになるための訓練施設」という位置づけなので、いくら努力しても賃金は一切発生しません。

「賃金が発生しないなら通所しても意味がない」と考える方もいるかもしれませんが、就労移行支援の利用者は雇用される手前にいる人たちなので、賃金が発生しないのは当然なのです。

加えて兼業(アルバイトや副業)は原則禁止なので、就労移行支援を利用する際は「成長するための期間」として、無収入を覚悟して通所しないといけないのです。

筆者の場合、「自分はまだ報酬をもらえるほど成長していないから、2年間で必ず結果を出す」と割り切った気持ちで通所していました。

通所初期の頃は医療事務やTOEICの勉強に打ち込みながら、少しずつビジネスマナーなどのコミュニケーションスキルも高めていた記憶があります。

就労移行支援は働くための前段階なので、やり甲斐よりも収入を優先する方には向いていないと言えるでしょう。

就労移行は働くための第一歩。まずは周りに相談を

就労移行支援は賃金や経費援助がなく魅力的ではないと感じた方もいるかもしれません。

しかし、たった2年間で自分を変えられるとしたら考えが変わった方もいるのではないでしょうか?

実際筆者も就労移行支援に行く前は人に慣れるのに非常に時間がかかっていましたが、就労移行支援利用し始めてから初対面の方とも共通の話題で盛り上がったり、リーダーシップをとれるようになったりと、劇的な変化がいくつもありました。

自分を成長させたい、社会復帰したいと感じている人には就労移行支援はピッタリなサービスです。

ただ2年という長い期間を費やすことになるので、通所するか悩んでいる方はまずは家族などに相談するようにしましょう。

事業所通所を決めたあなたの未来には、きっと輝いた結果が待っているはずです。

ぜひ就労移行支援を使って、新しい自分を手に入れてくださいね。